灰と愚者の邂逅
出会いは最悪だった。 平凡な家庭に生まれながら、身に余る力を持っていた故に何もかも失ってきた俺と。 厳しい境遇に生まれ力も何もない所から、自力であらゆる物を手にしてきたアイツと。 正反対の二人。何の共通点もない……強い…
この世に生を受けてから、星へと帰るまでの間。月日は巡り、同じ季節は繰り返される。 何回も、何十回も祝いの言葉とともに過ごした日。今年も彼の、グラディオラスの誕生日になった。 といっても彼は今、シガイの調査と退治で遠方へ…
「何か欲しいものはあるか?」 三月に入った頃、王都警護隊の仕事を終えての王都城からの帰り。 唐突に問われグラディオラスは目を瞬かせた。 問いかけた張本人―同じく王都警護隊の同僚であり、役割は違えど共に王子付きという同士で…
今日はラッキーだ。 監督生は内心でガッツポーズをする。モストロ・ラウンジでのアルバイト、その休憩時間。ジェイドが作ったまかないのシーフードピラフを食べながら、ちらりと目の前の人物を盗み見る。 自分と向き合う形で座ってい…
机の上には積まれた参考書、それからノート。さらさらと、ノートの上をペンが滑る動きにあわせ、インクが整った文字を残していく。 文字が一ページを埋めたところで、彼は手を止めて紅茶に口をつけた。良質な茶葉から淹れた紅茶は香り…
寮の部屋で二人だけ。更に言うならベッドの上で。仰向けに寝転がる俺の横には、縮こまって座っている草食動物。そわそわと落ち着かない様子で、膝の上に乗せた手を握りしめている。 自分の立場がよく分かってるじゃねぇか。内心でほく…