この世に生を受けてから、星へと帰るまでの間。月日は巡り、同じ季節は繰り返される。
何回も、何十回も祝いの言葉とともに過ごした日。今年も彼の、グラディオラスの誕生日になった。
といっても彼は今、シガイの調査と退治で遠方へと出てしまっていて、今日は仕事で終わるだろう。明日には帰る予定だと言っていたが、実際はどうなるか分からない。向こうでの仕事の状況はわからないので、邪魔になったら悪いからと、こちらから連絡はしていないのだ。
いつも依頼を終えて帰る前には連絡がくるのだが。夕刻の今、まだスマートフォンは鳴っていない。
イグニスは熱いコーヒーの注がれたカップを手に、ソファへと腰掛ける。
ここはレスタルムにある小さなアパート。夜に侵食され陽の光がほとんど失われてしまった今、昼も夜もなくルシス内も至る所でシガイが暴れているが、比較的安全なこの町には各地から多くの人が集っている。
イグニスはコーヒーを一口味わい、そして深いため息を吐いた。
恋人だからといって、こうした日に毎回ともに過ごせる時ばかりではない。互いにもう、それなりの年齢だ。子供のように心待ちにするほど特別な日、という感じでもないが。
一緒にいられないことに寂しいという気持ちは多少あれど、彼が無事にまた歳を重ねられるのなら……大事なくここに帰ってきてくれるのなら、それだけで十分だ。
何かをしていれば余計なことを考えずに済むのかもしれないが、一人でこうしていると、どうしても昔のことを思い出してしまう。……グラディオラスの誕生日に限らず、四人で集まって祝い事などしていたのが、本当に遠い昔のようだ。
いや、四人一緒に旅をしていた時からも、既に十年の月日は経っているのだ。過ぎてみればあっという間だが、長く苦しい十年間でもあった。
自分たちにできることは、ただ信じて待つことだけ。
プロンプトもグラディオラスと同様、どこかで依頼をこなしているだろう。彼は本当に強くなったと思う。
イグニスも、この数日はたまたま依頼がなく休息をとっているが、いつもは調査や討伐などで出回っている。
このアパートもグラディオラスと共に住んではいるが、二人とも揃って家にいることはほとんどないくらいだ。
留守中荒れないように部屋を掃除し、溜まった洗濯物を片付けて、部屋を整える。グラディオラスは戻って数日ここで休むのかもしれないが、自分は次の依頼が入っている。予定通りに帰ってくるのなら、一日は一緒にいられるのだが。
せっかくだし、ささやかでも誕生日の祝いをしたいところだが、プレゼントらしいプレゼントもない。自分は視力を失って、昔のようにものを見ることもできなくなってしまった。
それだけでなく、今は衣料品からなにから、物資は十分に行き渡っていると言い難い状況だ。自分たちは一般のハンター達より危険な仕事を多く請け負っている分、戦闘に必要なものは優先的に回されてはいるが。各地から避難している一般市民も多い中で、私服も、アクセサリーも、用意するのは難しい。
数年前はまだ戦闘で使えるようなアクセサリーも手に入ったが、今年はもうそれすらも困難だ。いや厳密には、服やらなにやら買うだけの資金はあるのだけれど、それを贈り物に使うくらいならば今必要としている誰かに回した方がいい、と。それがお互いの考えであるから、昔のように特別な品は用意しないのだ。
何かしてやりたくともできないのは、もどかしくもあるが、仕方がない。戦闘と私生活にある程度困らないだけはもっているのだから、今はそういったものをさらに求めるのは贅沢だ。
プレゼントという選択肢を取り払ってしまえば、今年の彼の誕生日に自分ができることは、温かい寝床を整え好物の手料理で出迎えてやることくらいだ。
数日前の魔物退治で大型をしとめたから、上等な部分の肉を少しまわしてもらって、残りは売りに出した。下味をつけて保存してあるから、彼の帰宅に合わせて調理できるだろう。
「……」
それにしても、あまりに連絡がないと心配になってくる。グラディオラスの腕は信頼しているが、請け負う仕事のリスクを考えるといつも無事で帰れるとは限らないし、そこまでの事態にはならずとも、調査の遅れなどで予定がずれることは多々あるのだ。
もし入れ違ってしまうようならば、料理だけ作り置きして残していくつもりだが、できることなら一緒に過ごしたい。慣れているが、一人の食事は案外味気ないものだから。
と、その時、スマートフォンが着信を告げた。この音は、グラディオラスの……。
すぐにスマートフォンを手にすると、待ち望んだ声が聞こえてきた。
『イグニス』
「グラディオ、依頼は終わったのか?」
『あぁ、無事に済んだよ』
声に少し疲労の色はみえるが、元気そうだ。
「そうか。怪我はしていないか」
『平気だって。明日……夕方になっちまうと思うが、そっちに帰るから』
「あぁ、待っている」
イグニスは一呼吸おいて、告げた。
「グラディオ。誕生日、おめでとう」
『……あぁ』
きっと柔らかな笑みを浮かべているのだろう、優しく穏やかな声。
自然と自分の口元もほころぶのを感じた。
短い会話だが、ちゃんと無事な声を聞けて安心した。
それに、電話越しだが当日中に祝いの言葉も告げることができた。
「明日は頑張らないとな」
コーヒーを飲み干して、イグニスはソファから立ち上がった。
*****
翌日、イグニスは朝から料理に精を出していた。肉は後で焼くのだが、それに合わせたパンとスープを作るのだ。あまり豪勢にはできないが、メインが肉料理だから十分だろう。
パン生地を作り、発酵させるためにしばらく置く。その間に部屋の掃除や洗濯などをして、家を綺麗に整えておく。
見えずとも、この家のことは完全に把握できているし、料理を含め、家事はもう一人でもこなせる。
ここまでには苦労もしたが、今こうしていられるのもグラディオラスの支えがあったからだ。プロンプトにも随分世話になった。
掃除が一区切りついたところで、パン生地の様子を確かめに戻る。
ふっくらと膨らんだ生地を食べやすい大きさに形成して、焼いておく。
焼きあがったパンを篭に盛って、あとはスープを煮込みながら肉にとりかかる。
焼き色が目で見えないのは不便だけれど、手をかざした時に感じる温度や、音や香りでも様子はなんとなくわかるようになった。
あとは十代からやってきた分の経験で染み着いた、感覚だ。
肉がほどよく焼けただろう頃を見計らって、皿に盛りつけた。
フライパンに残る肉汁と脂に調味料を足して、ソースも作る。これは食べる直前にかければいい。
スープもあとはよそうだけだ。
討伐依頼などしていると食事も簡素なものになるから、温かい手料理はきっと喜んでくれるだろう。
もう午後のいい時間になっていたが、まだ時間はありそうだ。
帰ってきたらすぐに使えるよう、バスルームにグラディオラスの着替えとタオルも用意しておき、すぐに休めるように寝室も整えてある。
まぁ、休むかどうかは分からないが。
「……」
思わず熱の籠もったグラディオラスの声が浮かんでしまって、頭を振って追いやった。
確かにしばらくは離れていたけれど、疲れているのならそのまま休んでくれてかまわないし、明日も一緒にいられるのだし、だが彼が望むなら断る理由はないわけで。
と、どこか言い訳じみたことを一人で考えながら、寝室を出た。
リビングに戻ると玄関の方から微かに音が聞こえ、イグニスは駆け出した。
鍵の回る音に次いで、扉が開く音と、入り込んでくる冷たい空気。
「ただいま」
「おかえり」
グラディオラスを迎え入れて、ドアを閉めた。
「いい匂いだな」
「良い肉が手に入ったからな」
笑顔でそう告げると、グラディオラスがこちらを見て微笑んでいるのが分かった。
ごつごつとした、自分よりもずっと大きな手が頬に触れ、そのまま唇を重ねられる。そっと、触れるだけの口づけを交わしてすぐに離れた。
そのわずかな間に感じた彼の感触。香水の奥に、汗と土の匂いを感じた。
「……このまま、お前を食いたいところだがな」
頬から首筋へと指先が滑らされ、そして離れる。
見えない瞳でじっと見上げるイグニスに、グラディオラスは笑った。
「お前が作ってくれた料理を先に味わうとするか」
「すぐに温め直そう」
「その間にシャワーを浴びてくる」
「あぁ、そっちも用意してある」
グラディオラスがバスルームへ向かったのを音で聞いて、イグニスはキッチンへと戻った。
少し頬が紅潮しているかもしれない。久しぶりに触れたグラディオラスの体温に、声に、鼓動はいつもより速まっていた。
昔の彼ならば帰って早々に押し倒されていたかもしれないが、そこは年齢と共に落ち着いたのだろう。悪い意味でなく、余裕がでたというべきか。本当にあのまま抱かれるとは思っていなかったが(続けるようならば自分から、先にシャワーを浴びるように言っていた)。ああいう風に優しく触れられると、彼への愛しさが増す。彼も自分を愛しく思って、大事にしてくれているのが伝わるから。
ふ、と口元が緩む。彼が帰ってからのわずかな時間で、気持ちも和らいだようだった。
パンを盛った篭をテーブルに置き、温めなおした肉にソースをかけて、スープも皿によそう。
それをテーブルに並べたところで、グラディオラスが戻ってきた。
元々シャワー時間は短い方だが、いつにも増して急いで出てきたのだろうか。イグニスは思わず苦笑する。
「早いな」
「腹減ってるんだよ。ちゃんと洗ってるから大丈夫だ」
近づくと、ボディソープの清潔な匂いがした。髪に手を伸ばすと、まだ濡れている。肩にかけられたタオルで髪から滴る雫を拭いてやり、こういうところは昔と変わらないな、と笑う。
テーブルに着くと、グラディオラスは感嘆の声をあげた。
「すげぇな。美味そうだ」
いただきます、の声と同時に彼は肉に取りかかる。様子を気にしながら自分も肉にナイフを入れてみると、予想以上に柔らかく、するりと切れた。
「やっぱりお前の料理は最高だ」
「それはよかった」
味付けも焼き加減も我ながら良い出来だと思う。タイミングよく、良質な素材が手に入ったのは幸いだった。
「一日遅れだが、誕生日のディナーとしてはなんとか形になっただろう?」
「あぁそうだな」
一度言葉を切ったグラディオラスが、にやりと笑った、ような気がした。
「食後の『デザート』も期待できそうだな?」
含みのある物言いの意図を察して、挑発的に笑んで見せる。
「さぁ、どうだろうな」
お前次第だな、と悪戯っぽく告げてやればグラディオラスはますます笑みを深くしていた。
食事を終え、洗い物を済ませていると、終わる頃合いを見計らってかグラディオラスが声を掛けてきた。
「なぁ……、そろそろ、お前が欲しいんだけど」
「……なら、シャワーを」
「どうせ汚れるんだ、後でいいだろ」
至近距離から声が聞こえたと思った次の瞬間には、抱き寄せられ、顎を掴んで上向かされた。
「んっ……」
何度か啄むようなキスをして、それから舌を差し入れられる。
歯列をたどり、厚い舌が上顎を舐め、舌の裏まであますところなく這わされる。溢れる唾液を飲み下すと、腰に回されていた腕にもっと力を込められた。
「ん……ぅ」
互いの身体が密着し、服越しにグラディオラスの体温を感じる。
合間に呼吸はしているつもりなのに、濃厚な口づけにだんだん息があがってくる。
昔から、それこそ付き合い始めた頃からずっと翻弄されてばかりだ。口腔内は感覚が鋭いのだと聞いたことはあったが、そのうち慣れるものかと思っていたのに、慣れるどころか余計に敏感になっている気がする。
一方的にされるばかりではなくなったが、それでも適う気はしない。単に自分が弱いのか、彼の技巧のせいなのか……両方か。
「はぁ、っ、は……」
ようやく解放された時には、立っているのもやっとだった。
キスだけでこんな風にされるのは少し悔しいのだけれど、思考より先に身体が呆気なく陥落してしまう。彼の胸にもたれ掛かったところで、腰と膝の裏に腕を回された。
一瞬の浮遊感に、抱き上げられたのだと分かる。
「捕まってろ」
「……ん」
グラディオラスの声は意外にも余裕が失われていて。自分だけではないことに、少しだけ安堵した。
そっとベッドに横たえられて、イグニスは目を閉じた。視力が失われてからはぼんやり明るさを感じる程度だから、暗い部屋では何も変わらないのだが雰囲気だ。
グラディオラスもベッドに上がり、ぎし、とスプリングがきしんだ。
「イグニス」
見えなくなってからこうして名を呼んでくれることが増えた。顔に触れなければ表情ははっきりと分からないから、声を掛けられると安心する。
「イグニス。……愛してる」
「……っ」
耳元に低く落とされる囁きに、ぞくぞくと腰が甘く痺れる。
「グラディオ……、っ、あ」
耳にキスをされ、それからねっとりと舐めあげられた。吐息混じりの濡れた音が鼓膜を震わせる。耳朶を甘く噛まれて、また舌を這わされた。
「あ、んんっ……」
その間にも何度も名前を呼ばれて、身体中に熱が駆けめぐるようだった。
「んぅ、う……」
シャツのボタンを外されて、素肌が露わにされる。首から鎖骨、胸へと唇がたどっていく。指先と舌で愛撫されれば、すぐにそこは反応を示した。屹立する先端を舌で突かれ、ちゅ、と音を立てて吸い上げられる。
「あぁッ……!」
歯を立てられると、痛みと快感がない交ぜになった刺激に、思わず声があがった。舌で転がされ、また甘く吸われる。指先がこね回していたかと思えば、軽く爪を立てられる。何度も何度も胸を愛撫されているうちに、痛みさえ快楽に変わり始める。
「んっ、ぁ……も、もう……」
硬く張りつめた下肢がきつい。下着の濡れた感触が不快だし、早く脱ぎ捨ててしまいたかった。
胸から唇が離されて、やっと解放されるかとイグニスは短く息を吐く。
けれど、グラディオラスの指先は腹筋を撫でるばかりで望むようにはしてくれない。
「グラディオっ……」
「はいはい」
咎めるように名を呼べば、ようやくベルトに手がかけられた。ファスナーをおろして、緩められる。下着越しに濡れた先端を撫でられ、思わず眉間に皺が寄った。
「ガチガチだな」
下着を取り去りながら揶揄するように言われて、かっと顔が熱くなる。
居たたまれなくて腕で顔を覆ってしまえば、悪かったって、と思ってもなさそうな謝罪がきた。
グラディオラスは、ベッドサイドのチェストからボトルを取り出し、自らの手に中身をまとわせてイグニスの後孔に触れた。
「っあ……」
指を差し入れられ、中で動かされる。内を解そうとかき回す指は、気持ちいいのだけど物足りなくも思う。
散々火をつけられた身体は貪欲にこの先を求めていて、慣らす動きすら焦れったく感じていた。
早々に増やされた指が感じる箇所を擦りあげてくると、思わず腰が跳ねた。
「うぁ、あ……」
反射的に締め付けてしまい、グラディオラスが低い笑いを漏らすのが分かった。
「我慢しなくてもいいんだぜ」
けれどその言葉に、イグニスは首を振った。
「……グラディオ」
イグニスはグラディオラスの首に腕を回して抱き寄せる。そして耳元で、精一杯の誘いを告げる。
「お前が、ほしい」
「……あぁ」
指が引き抜かれ、代わりに昂ぶる熱塊を押し当てられる。遠慮なく内を押し開いて入り込んでくるその熱さに、イグニスは身を強ばらせた。
「! 待って、あ、……」
気を抜くと達してしまいそうなほどの快感が背筋をかける。
「や、ぁ、だめ、だ……っ」
「まったく、急かしたり待てって言ったり」
呆れ混じりの声と共に動きが止まり、ほっと小さく息を吐いた瞬間だった。腰を掴んで奥深くまで一気に突き入れられ、息が詰まる。
「ッは……ぁ」
「そんな締めんな、って……オレも、やばいんだから」
グラディオラスは困ったような声をあげるが、イグニスは彼を睨みつけてやった。
「だって……こんな、……ッ」
抗議の言葉はキスで遮られた。口づけられながら腰を揺すぶられ、次第にそれに流されていく。
指とは比べものにならないほどの快感に、散々昂ぶっていた身体はすぐに飲み込まれていった。
繋がれたところからぐちゅぐちゅと濡れた音があがる。聞こえる音も、声も、汗の匂いも。感じ取れるすべて何もかも、快感を煽っていく材料にしかならない。
「気持ち、い……ぁ」
剛直に体内を犯されて、思考までも溶かされるようだった。こぼれる喘ぎの間に、うわごとのように名を呼んで、グラディオラスの背に強く縋りついた。
「っ、イ……く、もう、……ッ」
とろとろと蜜をこぼす前に触れられ、一気に絶頂へと追い込まれる。
「うぁ、あ……」
背をしならせて精を放ち、自らの腹と胸を白く汚した。
余韻に胸を上下させ呼吸を整えていると、なだめるように頬にキスをされる。
「悪いけど、もうちょい我慢してくれ」
吐息の奥で、苦しそうな色を滲ませながらグラディオラスは告げる。
内に沈められていた熱塊を一度引き抜かれ、うつ伏せにされてそれからもう一度中へ突き入れられる。
「グラディオ……ッ、は、ぁ……」
奥を穿つ熱は達したばかりの身体には過ぎた快感で、涙が滲むのが分かった。
シーツに顔を埋め、嵐のような激しい行為に必死に耐える。
「イグニス……」
けれど彼も限界が近いのだろう、声も余裕を失っている。
嫌ではない、でも、苦しい。ごちゃまぜになった感情と感覚の波に揺さぶられながら、イグニスは強くシーツを握りしめていた。
*****
気怠い空気の中、二人ベッドに横たわりながら静かな時が過ぎる。
「疲れたか?」
グラディオラスは乱れたイグニスの髪を撫でている。その感触が心地よくて、幸せだった。
「……少し、な」
甘いまどろみに引き込まれそうになりながらも、イグニスは目をあけた。グラディオラスの目をじっと見据えるように目線を向けて、名前を呼ぶ。
まだ、伝えていないことがあったから。
「グラディオ」
「ん?」
髪を梳く手は止めないまま、柔らかな声が返ってくる。
「お前が生まれてきてくれたこと、こうして隣にいてくれること、本当に感謝している」
できること、与えられるもの、ずっと考えていた。けれど結局最後に残ったものはこの身と、想いだけ。
ただ彼が、生きて、共に居られることがなにより大切なのだと。いつまでこうしていられるかも分からない状況で、だからこそ、こうして何かの形で残しておきたかった。言葉は不確かなものでも、きっと気持ちは伝わると思ったから。
イグニスは静かに、けれどはっきりと、告げた。
「……ありがとう」
そっと背中に腕を回すと、包み込むように抱きしめられた。
その胸に頬を寄せて、イグニスは目を閉じた。
2017/05/04公開