VDの甘い贈り物
早朝、レスタルムの街。日中は容赦なく肌を灼く日差しも今は低く、生温い風が吹き抜けていくが蒸し暑さはまださほど、と言った感じだ。 そんな中でも、市場は既に賑わいを見せている。 イグニスはグラディオラスを連れて市場へと食材…
この世に生を受けてから、星へと帰るまでの間。月日は巡り、同じ季節は繰り返される。 何回も、何十回も祝いの言葉とともに過ごした日。今年も彼の、グラディオラスの誕生日になった。 といっても彼は今、シガイの調査と退治で遠方へ…
「何か欲しいものはあるか?」 三月に入った頃、王都警護隊の仕事を終えての王都城からの帰り。 唐突に問われグラディオラスは目を瞬かせた。 問いかけた張本人―同じく王都警護隊の同僚であり、役割は違えど共に王子付きという同士で…