雪解け水に想い溶かして

 光に覆われた第一世界を救い、原初世界での第八霊災も防いだ英雄。原初世界では光の戦士、こちらの世界では闇の戦士と呼ばれた彼女は、突然召喚されたにもかかわらず、正体も明かせずにいた自分を信じて最後まで戦い抜いてくれた。 大

いちばんの大切なもの

   賑わう街を、二人で歩くのは楽しい。グリダニアで行われているヴァレンティオンのイベントを見に、シャーレアンから来たグ・ラハ・ティアは平静を装いつつ内心では浮かれていた。愛の日一色に彩られた街はいつもと雰囲気が違ってい

恋人のお仕事

 部屋の中に、二人分のペンを走らせる音だけが響く。 カミュさんの執務室で、私とカミュさんは山のように溜まっていた書類を捌いていた。 別にサボってため込んでいたわけではない。プリムスクラブの総支配人であるカミュさんの所には

午前一時の約束

 眩く輝く月と星々に彩られた夜空は、濃紺に塗られたキャンバスに宝石を散りばめたみたいだった。空気は澄んでいて雲一つなく、見慣れたはずの風景も今日は特別明るく感じる。 それは天気のせいだけではなくて自分が浮かれているせいか

君の紡いだ奇跡をたどる

 世界の為に戦い、走り続ける日々も、過ぎ去ってしまえばあっという間に感じられる。「お茶が入りまっした!」「ありがとう、タタルさん」 人の少なくなった石の家で、彼女は仲間たちとテーブルを囲んでいた。テーブルにはタタルが淹れ