10 minutes

 近頃、学園内で流れる妙な噂。突然閉じ込められ、指定された課題を達成しないと出られない、不思議な部屋が存在するという。 魔法の気配を感じる部屋、外に繋がっていそうな扉には簡単に開きそうにない鍵。 寮長の個室程度の広さがあ

祝杯

 雲一つない晴天のクルザス中央高地。救国の英雄である青年は黒チョコボを駆り、スチールヴィジルの先へと向かっていた。イシュガルドを一望できるこの場所には、一つの墓石がある。「来たぜ、オルシュファン」 青年はチョコボから降り

恋人になったその日は

 長くイシュガルドで続いてきた竜詩戦争が一人の英雄によってその幕を閉じ、それからは目まぐるしい国内の変化で日々忙しく過ぎていく。 ……というのは引退した父に代わり家督を継いだ兄や、政治に関わる者達など周囲の人の話で、エマ

秘めた恋は雪花に紛れ

 一度に色々なことが起きて、簡単に頭が受け入れてくれない。 それでも絶望せずにいられたのは、優しく差し伸べられた手があったからだ。  ――英雄と呼ばれた少女は一夜にして罪人の身となった。 クリスタルブレイブの裏切り。罠に

trace #2

   あの日の出来事は、今も胸の奥深くに突き刺さっている。 夕焼けに染まるイシュガルド教皇庁。光の槍。彼の叫び声。視界の赤。 ……忘れられるはずが、ないんだ。  争いの最中にあっては、生と死は常に隣り合わせだ。

trace #1 

 真っ白な雪に覆われたクルザス中央高地。雪が降ることの多いこの地域も、天気予報士の言葉通り今日は晴れ渡っている。 稼ぐには絶好の日だ。 普段は戦士として斧を振るっているが、冒険者に開かれた技術は、戦闘だけでなく製作も採集