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近頃、学園内で流れる妙な噂。突然閉じ込められ、指定された課題を達成しないと出られない、不思議な部屋が存在するという。 魔法の気配を感じる部屋、外に繋がっていそうな扉には簡単に開きそうにない鍵。 寮長の個室程度の広さがあ…
近頃、学園内で流れる妙な噂。突然閉じ込められ、指定された課題を達成しないと出られない、不思議な部屋が存在するという。 魔法の気配を感じる部屋、外に繋がっていそうな扉には簡単に開きそうにない鍵。 寮長の個室程度の広さがあ…
ふと気がついた時には、薄暗い室内にいた。闇に目が慣れてきた頃に、そこがモストロ・ラウンジだと気がついた。明かりすらなく、人の気配もない。何の匂いもしない。 フロイドはあたりを見回し、一応声をかけてみる。「ジェイドー、ア…
「ジェイド先輩って、大きいですよね」 モストロ・ラウンジの開店前。アルバイトに来ていた監督生が、彼を見上げて告げる。 仕込み中に、上の棚にある食器を取り出しただけ。ジェイドにとっては自然な動作だったが、彼の胸くらいまでし…
涼やかな風が通り抜ける。少し肌寒いくらいの外気も、室内の、しかもベッドの中にいれば気にならなかった。明るい天井を見つめたまま、監督生は小さな身体を強ばらせていた。 ここはオンボロ寮の自室ではない。サバナクロー寮の、寮長…
「そういえば、アズール先輩の告白にはちょっと驚きました」 監督生が笑顔で言い放った言葉に、視線が一箇所に集まる。「は、僕が?」 何を言っているのか分からない、と言いたげにアズールは綺麗な顔を嫌そうに歪める。その隣に立つ長…
魔法の使えないただの人間。異例の監督生。飛び抜けて美しい容姿や、高貴な生まれをしているわけでもない。本当に、ごく平凡なひとだ。 けれどそのまっすぐな眼差しは、射貫くような力強さを持っていて。何をするか分からない不穏さ、…