no title
空が夕の赤から夜の青へとグラデーションを描き始めた頃。タバティエールとマスターの二人は基地への道を急いでいた。少し離れた街にいるレジスタンスのシンパの元へ二人で交渉に赴いていたので、途中までは馬車を使ったのだが残りは徒…
食堂が昼のピークを過ぎ、片付けの手伝いも一段落した頃。 恭遠に指定された召集時刻が近づいていることに気づき、タバティエールは作戦室へと向かった。 指定された時刻より十分ほど早いが、そこには既に恭遠とマスター、それか…
戦い傷ついた貴銃士も癒せないで、何がマスターか。 手の甲にある薔薇の傷からは赤い血が滲んで、ずきずきと痛みを訴えている。 けれどそれ以上に、目の前にある傷だらけの褐色の肌をーーアリ・パシャさんの身体を見ているほうがつら…
「ねぇ、マスター。俺、キスも上手なんだけど……試してみる?」「結構です」 ウインクと共に軽い調子で告げられた言葉に、私は間髪入れずにきっぱりと返した。 眉を顰めたまま彼の整った顔を見上げれば、ホールさんは、残念、と思って…