手のひらの記憶
ふらふらする。気持ち悪ぃ。最悪。 ほとんど蓮巳に引きずられるように連れてこられたネットカフェの部屋は、決して寝心地がいいとは言えないけれど、横になれるだけマシだ。フェイクレザーのシートは固いし、足も伸ばせる広さはないが…
夏休みもあけて、まだ暑さが残るこの季節。暦の上では秋だって言うし服やら食べ物やら色んな店で秋のものが出てくるけれど、まだ秋らしさというのはそれくらいしか感じられない。 今年はお月見ライブで忙しかったけど、それも終わって…
「……というわけで鬼龍、諦めろ」 無情な言葉とは裏腹に、蓮巳が満面の笑顔で告げてくる。いつもなら可愛いと思う恋人の笑顔も、このときばかりは小憎らしい。 俺と蓮巳と神崎の三人で紅月の仕事の打ち合わせをした時に、今年の夏はE…
『今年の夏はESのみんなでバカンスに行くよ』 などと楽しそうに告げる英智の言葉に、その場にいた各事務所の代表と補佐役たちが、は? と言葉を失ったのはいつのサミットだったか。 高級リゾート施設と往復の飛行機を貸し切りにして…
夢ノ咲学院を卒業して、社会人となることへの漠然とした期待と不安の中にいたら、何故か急遽寮生活が始まることになったのが一月ほど前の話だ。引越作業に追われていたのも落ち着き、新しい生活にも慣れ始めていた。可愛い妹と離れるの…
・同人誌「想いは夢に暴かれて」に収録されている話と同一です。サンプル兼ねた公開版 ***** サイラス×エマ言葉は夢にあふれ、おちる 堅牢な城壁に囲まれた、歴史ある広大な城。その一角には、色とりどりの花が咲き乱れる…