嫌じゃないから困るんだ
鬼龍の部屋の、ベッドの上。着衣も、シーツも、互いの呼吸も相当乱れた状態で。指を絡めて繋がれた手だけが、離れまいとしっかり重ねられている。肌を重ねた、その余韻の生ぬるく気怠い空気のなか口づけを交わす。 こんなに予定が合わ…
鬼龍の部屋の、ベッドの上。着衣も、シーツも、互いの呼吸も相当乱れた状態で。指を絡めて繋がれた手だけが、離れまいとしっかり重ねられている。肌を重ねた、その余韻の生ぬるく気怠い空気のなか口づけを交わす。 こんなに予定が合わ…
蓮巳敬人という男についてどう思うかと訊ねれば、その整った容姿や低く艶のある声、洗練されたダンス、真面目さや誠実さなど、褒める所が多く出てくるだろう。アイドルである彼のファンならば、それこそ言葉が尽きぬほどに。 そして、…
一月も後半にさしかかったある日の夜。寮の自室の四人の共有部分であるソファに転がり、鬼龍は分厚い冊子のページを捲っていた。「う〜ん……あー……」 その眉間には普段以上に深い皺が刻まれ、口からは言葉にもなっていない声が漏れ…
午前中、仕事に出る前の時間。蓮巳は自分の寮室でティーバッグの紅茶を淹れながら、テレビに耳を傾けていた。 今日は平日だが、蓮巳と氷鷹だけでなく紫之も仕事の日なので、全員がまだ寮室にいる。蓮巳の希望で朝の情報番組を流してい…
――珍しい頼み事だと、思ってはいたんだ。 午前中の仕事が終わって、蓮巳が寮に戻ろうと移動していると、鬼龍からメッセージが来た。鬼龍は今日と明日がオフで、蓮巳は今日の仕事は午前だけだったから、特に約束をしたわけではないが午…
秋らしさが深まり、肌寒くなってきた十月の後半。今日は朝から晩まで仕事が入っている日だ。通学する学生たちが寮から出払った頃、俺も仕事のために支度をして部屋を出る。 階段を降りて廊下を歩いていると、キッチンの方から耳慣れた…
仕事帰りに何気なく寄ったショッピングモール。一人ふらふらとあてもなく彷徨いながら、沙明は一人ぽつりと零した。「バレンタイン……ねぇ」 この惑星に来てから数ヶ月、生活にもだいぶ慣れたがこの時期の盛り上がりは初めて見た。街…
今回は乗員が五人と少ない。グノーシアも一人。乗員に有利な条件、に見えていたけれど。チャンスが少ない分、一度選択を間違えると大変なことになる。 初日の投票先を誤り、夜の襲撃も許してしまった。船の残りは三人、俺とセツと沙…
終了条件を告げるアナウンスが聞こえる。この船の、今回の生存者は自分とセツ、二人だけ。「終わったね」「うん……」 安心したような顔で微笑むセツに、頷く自分の気持ちは重い。 この後は少し経って、二人とも別々にループが始まる…