元・狂犬の愛する子猫
夜、寮の自室。今夜は自分以外は不在なので、既にここにいるのが当然のようになってきた蓮巳と、二人きりの時間だ。今日は晩飯を済ませたあと、並んで座りながらテレビを見ていた。 今放送されているのは、俺が出演する新ドラマと同じ…
夜、寮の自室。今夜は自分以外は不在なので、既にここにいるのが当然のようになってきた蓮巳と、二人きりの時間だ。今日は晩飯を済ませたあと、並んで座りながらテレビを見ていた。 今放送されているのは、俺が出演する新ドラマと同じ…
今日の仕事は予定通り、いや予定よりも早く恙無く終わった。雑誌の撮影と、午後は会議。特に会議は、今までにないくらいの順調さで進み、感動したほどだ。いつも何かしら脱線したり問題ごとが持ち込まれたりと、頭が痛くなるというのに…
夢ノ咲学院を卒業して、実家暮らしから寮生活になり早数ヶ月。アイドル仲間たちとの共同生活、家族ではない他人と共に暮らすというのは楽しい部分も大変な部分もある。それでも、鬼龍は同室の仲間たちとは――二人はほぼ海外生活で居な…
恋愛というものは物語の題材の定番だ。温かくて美しく、優しい感情。世界を煌めかせるような輝かしいもの。或いは身を焦がすほど激しいもの。嫉妬や執着や憎悪などの闇を生み出すもの。誰かを強く想うこと、その人のことで自分の思考が…
もう足を運ぶのも慣れてきた生徒会室。職員室に呼び出されているみたいな気分になるから近寄りたくなかったはずのこの場所も、何度も訪れていれば抵抗もだいぶ薄れてきた。 それに、俺がここに来る目的は、こちらももうすっかり馴染ん…
今日は久しぶりに鬼龍と二人で過ごせる日だったんだ。明日はようやく予定の合う休みだったから、仕事終わりに外泊しよう、って前から決めていて。防音設備の整ったビジネスホテルに泊まりに来た。 連日忙しかったし、お互い疲れていた…
日々忙しく働きまわっているというのは、アイドルという職業を考えればありがたいことではある。だが、恋人である鬼龍と一緒に過ごせる時間というのも、ここ最近はめっきり減ってしまっていた。いや、同じユニットとしての仕事では当然…
『春は新しい出会いの季節ですが、皆さんは印象深い出会いはありますか』 紅月のラジオ番組に寄せられたお便りを神崎が読み上げる。それに対して蓮巳が答えた。「そうだな、幼馴染み共との出会いもなかなか衝撃的だったが。一番は……」…
年末から正月にかけての繁忙期を終えると、街はバレンタインの装いに変わっていく。アイドルとしては、まだまだ仕事が尽きない時期だ。仕事終わりに立ち寄った、寮の最寄り駅近くのファミリーレストランで、蓮巳はメニュー表を眺めなが…