『春は新しい出会いの季節ですが、皆さんは印象深い出会いはありますか』
紅月のラジオ番組に寄せられたお便りを神崎が読み上げる。それに対して蓮巳が答えた。
「そうだな、幼馴染み共との出会いもなかなか衝撃的だったが。一番は……」
蓮巳は過去を懐かしむように目を閉じる。
「初めて一緒にステージに立った日。歌は荒削りだったが、外見も衣装もステージ映えするし、初舞台とは思えないほど楽しそうに、堂々と歌ってパフォーマンスをしていて。こいつは最高のアイドルになると確信した」
「蓮巳殿、それはもしや」
神崎がわくわくした顔で続きを待っている。
「あの日俺は、アイドル鬼龍紅郎に一目惚れした。それが元で紅月ができたんだ」
「何言ってんだよてめぇはよぅ」
「鬼龍殿、照れておられるな」
ラジオで顔は映らないのが幸いか。リクエストの曲を流すその間、盛大に机に突っ伏した鬼龍は、耳まで真っ赤になっていた。
鬼龍にとっても蓮巳は運命と言えるほどの出会いだったのだが……悔しいから、自分だけの秘密にしておくことにする。
2025/03/16公開
