trace #2

   あの日の出来事は、今も胸の奥深くに突き刺さっている。 夕焼けに染まるイシュガルド教皇庁。光の槍。彼の叫び声。視界の赤。 ……忘れられるはずが、ないんだ。  争いの最中にあっては、生と死は常に隣り合わせだ。

trace #1 

 真っ白な雪に覆われたクルザス中央高地。雪が降ることの多いこの地域も、天気予報士の言葉通り今日は晴れ渡っている。 稼ぐには絶好の日だ。 普段は戦士として斧を振るっているが、冒険者に開かれた技術は、戦闘だけでなく製作も採集

カウントダウン

   1   終わりの始まり  酷い耳鳴り。真っ白に霞む視界。激しい痛み。喉の奥から漏れる悲鳴。 得体の知れない何かが身体中を這い回るような、その何かに腹の内側から食い破られるような、強烈な違和感。 足下がふらつく。まと

ある冒険者の記録。

 あまりにも、色々なことがありすぎた。濁流に飲み込まれるかのように目まぐるしく変わりゆく事態に、簡単に気持ちの整理などつくはずもなく。 目の前で起きたナナモ陛下の暗殺。罠にはめられ、その犯人として捕らわれた。そしてクリス